マグネットシートの磁石には、「等方性」と「異方性」の2種類があり、それぞれに特徴があります。マグネットシートを利用する際には、用途に適したサイズや厚みのシートを選ぶことが大切です。
本記事では、等方性マグネットシートの概要や異方性マグネットシートとの違い、等方性マグネットシートを選ぶ際のポイントについて解説します。また、等方性マグネットシートを設置する際の注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
等方性マグネットシートとは?
等方性マグネットは、磁石粒子内の結晶のN極とS極の方向がランダムであり、どの方向にも均等に磁力を発生させる特性を持っています。
この特性により、等方性マグネットは成形時に外部から磁場を加えても磁化方向が整わないため、異方性マグネットのような特定の方向への磁化を得られません。このように、等方性マグネットは、結晶内の磁化方向がランダムなため、磁気特性が均一である点が特徴です。
異方性マグネットシートとの違い
次に、異方性マグネットシートとの違いについて解説します。
- 磁力
- サイズや厚み
- 用途
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.磁力
異方性マグネットシートは、その強力な磁力で知られており、等方性マグネットシートと比較して磁力には大きな差があります。具体的には、厚さ1mmの異方性マグネットシートは、等方性マグネットシートの約4倍の吸着力です。
この高い磁力は、異方性マグネットが特定の方向に磁化される製造過程に由来します。このため、磁力を最大限に活用したい用途や製品に適しています。
2.サイズや厚み
マグネットシートのサイズや厚みは用途によっても異なり、等方性と異方性で明確な定義はありません。どちらも、サイズが小さくなれば接地面の問題で剥がれやすくなり、大きければ磁石本体の重さで剥がれやすくなります。
一方、厚みについては、より分厚いが磁力は強くなりますが、厚みによって価格が上昇するため、一般的には1mm以下のマグネットシートが広く流通しています。
なお、異方性マグネットシートで人気の厚みは0.8mmで、等方性マグネットシートに比べて厚みがあるケースが多い傾向です。また、等方性マグネットシートで広く使われている車の初心者マークやシルバーマークなどは0.6mmの厚みです。
3.用途
異方性マグネットは、一定方向への磁力が強力なため、電化製品や工業製品などの重たいものを保持する用途や部品に使用されるケースが多いです。
一方、等方性マグネットは、企業のノベルティや雑貨のマグネット、POPなどのディスプレイの用途として広く普及しています。また、黒色以外のカラーマグネットの多くも、等方性マグネットシートが使用されています。
なお、等方性と異方性マグネットの違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:【プロが教える】異方性マグネットとは?特徴や等方性マグネットとの違い、よくある質問を解説!
等方性マグネットシートを選ぶ際のポイントは3つ
次に、等方性マグネットシートを選ぶ際のポイントについて解説します。
- 磁力
- 材質と耐久性
- サイズと厚み
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.磁力
等方性マグネットシートを選ぶ際には、使用する目的や環境に合わせた磁力の選定が欠かせません。磁気特性表を確認し、適切な磁力を持つシートを選べば、期待する性能を発揮できます。
たとえば、重いものをしっかりと固定したい場合には、強い磁力が必要です。一方で、軽い表示物や装飾目的で使用する場合は、それほど強い磁力は必要ありません。このように、用途に応じた磁力選びが求められます。
2.材質と耐久性
等方性マグネットシートの材質は、耐久性に大きな影響を与えます。とくに、耐水性や耐熱性が欠かせない環境での使用を検討する場合、これらの特性に対応した材質を選ぶ必要があります。
また、屋外での長期的な使用を想定するのであれば、UVカット加工が施された製品を選ぶことで、色の変化や素材の劣化を防ぐことが可能です。
3.サイズと厚み
等方性マグネットシートを選ぶ際には、サイズと厚みが重要です。設置する場所の寸法に適したサイズのシートを選ぶようにしましょう。
ただし、シートが分厚くなると磁力はより強力になりますが、その分加工や取り扱いが難しくなる場合があります。このため、目的に合った適切なサイズや厚さのシーンを選ぶことがポイントです。
等方性マグネットシートを設置する際の注意点は3つ
次に、等方性マグネットシートを設置する際の注意点について解説します。
- 表面を清掃する
- 空気を排出させる
- 温度条件を確認する
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.表面を清掃する
等方性マグネットシートを貼り付ける際は、表面の清掃が欠かせません。設置面に汚れや油分が付着していると、シートが十分に固定されないおそれがあります。
このため、適切な粘着力を保つために、設置面を布や専用クリーナーでしっかりと清掃し、完全に乾燥させることが大切です。シートを貼る前にこの工程を怠ると、期待どおりの固定効果が得られない可能性があります。
2.空気を排出させる
等方性マグネットシートを正しく取り付けるには、まずシートと取り付け面の間に空気が入らないように注意してください。空気が残るとシートの接着が不十分になり、簡単に剥がれてしまうおそれがあります。
取り付ける際は、中央から外側に向けてゆっくりとシートを押さえつけながら、空気を押し出すようにしましょう。
3.温度条件を確認する
等方性マグネットシートを設置する際は、適切な温度環境が重要です。シートの物性は、温度によって変化する可能性があり、極端な寒さや暑さでは粘着力が低下する場合があります。
このため、使用する際は、適切な温度環境で設置し、シートが本来持つ性能を十分に引き出せるようにしてください。シートの機能を最大限に発揮させるためには、温度管理が欠かせません。
等方性でよくある3つの質問
最後に、等方性でよくある質問について解説します。
- 質問1.等方性マグネットシートのメリットは?
- 質問2.等方性マグネットシートのデメリットは?
- 質問3.等方性マグネットシートは車にも貼れるの?
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
質問1.等方性マグネットシートのメリットは?
等方性マグネットシートの最大のメリットはその汎用性とコストパフォーマンスです。どのような方向からも均一な磁力が発揮でき、切断や加工も容易なため、さまざまな用途で使用できます。
また、その柔軟性により、曲面や不均一な形状の物体にも適用可能です。このように等方性マグネットシートは、多くの業界でその利便性と経済性から重宝されています。
質問2.等方性マグネットシートのデメリットは?
等方性マグネットシートは、異方性マグネットシートに比べて磁力が弱いという特徴があります。このため、強力な磁力が求められるシーンには適していません。
また、使用期間が長くなると磁力が低下する可能性があります。さらに、過度の熱や直射日光にさらされると性能が低下する場合があるため、使用環境には注意が必要です。これらの特徴を理解し、適切なマグネットシートを選択することが大切です。
質問3.等方性マグネットシートは車にも貼れるの?
等方性マグネットシートは、車両に貼り付ける用途にも適しています。このタイプのシートは均一な磁力を持ち、柔軟性もあるため、車体に広告や装飾を施すことが可能です。
シートを使用する際は、貼り付ける面が清潔で滑らかであることが大切です。長期間の使用や高速走行時には、シートが外れるリスクがあるため、定期的に状態をチェックするようにしてください。
また、塗装面にダメージを与えないよう、定期的に取り外して清掃し、車体とシートの状態を確認するようにしましょう。
なお、車にマグネットシートを貼る場合のデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:車にマグネットシートを貼るデメリットは?剥がれる4つの原因や落ちにくい対策をご紹介!
まとめ
本記事では、等方性マグネットシートの概要や異方性マグネットシートとの違い、等方性マグネットシートを選ぶ際のポイント、設置する際の注意点について解説しました。
等方性マグネットシートは、異方性マグネットシートと比較して磁力が均一であり、柔軟なサイズや厚みで製造が可能です。主に一般的な広告や装飾、一時的な固定用途に適しています。
マグネットシートを選択する際は、必要な磁力の強さや材質、および設置場所に適したサイズと厚みを考慮するようにしてください。
また、設置にあたっては、マグネットシートの表面をきれいに清掃し、気泡が入らないように空気を抜くこと、また、適切な温度条件下で使用するのがポイントです。
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